![]() |
![]() ★第3回★「本選びは嗅覚だ。の巻」 ![]() 本選びは嗅覚に重要な鍵が隠されているように思います。私は最近わりと鼻が利いていて、ここ2冊は本当に当たってる。 先日読んだばかりの小説『さよならスナフキン』は、前作『マリモ』からこっち、かなり気になっている山崎マキコ氏の著書。図書館で見つけて胸がスウィングし、帰るのも待ちきれず図書館で読んでしまいました。内容、かなりいいです。身につまされます。通勤電車の雑踏からも、気がかり満載の脳内やじうまからも、スイスイっと私を物語の世界に連れて行ってくれた、そんな1冊。自分に自信がない女の子が色々あってちょっとラクそうになるという、それだけ言うと……って感じのお話なんですが、明るいし軽いしリアリティあるし、本当に胸が焦げそうな苦しさとかもきちんと描かれていて、よかった。あぁぁスナフキィン! で、その前に読んだのが『明日の記憶(萩原浩)』という小説で、これもいい。若年性アルツハイマーにかかった男性の物語なんですが、私はこの病気に対する予備知識がほとんどなかった。で、驚きや衝撃も大きかった作品です。描かれている感情に実感は持てなくても、想像すらできない痛みでも、自分がそうと知って感じて考えることで、たくさんの思いを心の中にポコポコッと根付かせてくれる。うん。そういう静かな力を持ったいい小説だと思いました。 ほかには『愛がなんだ(角田光代)』、『太陽と毒ぐも(角田光代)』、『余白の愛(小川洋子)』、『私が語りはじめた彼は(三浦しをん)』などの女性作家もの(恋愛度高めな感じですね)、『空中ブランコ(奥田英郎)』、『みんな誰かを殺したい(射逆裕二)』、『チルドレン(伊坂幸太郎)』、『みんな元気。(舞城王太郎)』、『野ブタをプロデュース(白岩玄)』などの男性作家もの(こっちはエンタメ度高めですかね)、数年前に起こった幼児虐待による殺人事件をテーマにした『ネグレクト(杉山春)』、昨今多発している少年犯罪について書いた『危ない少年(町沢静夫)』などを読みました。中でも印象に残っているのは『野ブタをプロデュース』。感覚のリアルさをちゃんと伝えられる文章力があって、すごいなぁ。いいなぁ。と口を開けつつ、次回作を期待したいです。 次にマンガを少し。『夕凪の街 桜の国(こうの史代)』が、今私の中で大々的にキてます。感動!感動!感動の名著。マンガってすごいことができるんだなぁと思った作品です。内容は言わない。読んで欲しいので言いません。あとは『団地ともお(小田扉)』がよかったです。小学生のうわぁ楽しいやって感じが、キラリキラリとしている。 それと、先日ニューヨークに行ってきて驚いたことをひとつ。アメリカのマンガゲッツ!と意気込んで本屋に行ったんですが、「COMIC」という棚がほんとちょこっとしかない。それもバットマンとかの王道。主に子供向け、字がでかいよ読みやすいよカラーだよ、みたいな。えぇぇ?と思っていたら、横に「MANGA」と書かれた棚を発見。しかもフロアの一角を占めるぐらいの広スペース。で、そこに日本マンガの英訳版がズラーーーーーっとあるんですね。んー。要は日本のマンガはやはり自信を持っておもしろいのだと。いうことですね、はい。では、マンガ好きのたぎる思いを新たに、次回も読み倒します。 ![]() |
![]() |